「あんたはヒーローじゃないって」
100回言われただろう。
「そんなことで悩んでるの」
1000回は下らない。
この先またカウントがあがっていくかと思うと、辟易だ。
*
意識を変える、考えを変える、捻じ曲がった根性を叩きなおす。
スギみたいにまっすぐ育って欲しいなんて、生まれたと同じに植樹したのはスギなんかじゃなかった。なんて。
ゲームでもやって、ヒーロー欲を満たす。
鬱憤を何か自分の行動に結び付けて、いつかきっとなどと、ハッピーエンドな未来を見ようとする。
そいつぁ未来でもなんでもなく、ただの絵空事だろう。
ヒーローが僕の目に飛び込みすぎやしないか。
ほら、また目の前を横切った。
今またテレビで赤いヒーローが叫んでいる。
スピーカーから聞こえるヒーローの声。
雑誌をめくるたびにポーズを決めるヒーローたち。
夜中に酒飲んで騒ぎ立てて、平気で路駐する、同じマンションの自称ヒーロー。
カメハメ波、練習一杯したな。
自分の限界を超えられるって、アニメが、ゲームが教えてくれたっけ。
自分の限界はどこだ。
明日になったらこの問題が解ける。
大人になったら───。
そんな経験を噛み締めながら、ちょっとは信じていたっけ。
やっぱり、でねぇもんはでねぇ。
「オラもっと強くなりてぇだ!」
「オラも!」
「オラもだ!」
おいおい、みんなゴクウじゃないか…。
じゃあ、僕はテンシンハンでいいや…。
*
曲がりなりにも、周囲の植物を枯らしながら、得体の知れない木は伸びていく。